お年よりが多い町だ。
アパートを出て角を曲がっても、
お年よりのカップルがゆっくりと歩いている。
私は思わず微笑んでしまう。
犬などを連れていると、もっとニコニコして、
話しかけもする。
エレベーターを降りても、
コインランドリーに行っても、
映画館の列に並んでも、
お年よりが至るところで元気におしゃべりをする。
老人の町へ来てしまった。
さぁ、私は何をリハビリしよう。
車道も歩道もグンと広くて、
お隣さんも遠くにある町だ。
イラつかないでいい、急かされないでいい。
積極的に、前へ進んで行こうと、
ノビノビ気分を推奨してくれる町だ。
だから私も、あんな風に、
年をトッテ、生きてゆく、
ということが自然と肌で感じとれる。
東京で忙しく働いていた頃は、
年をとることが恐かった。
それは若さという美貌やアドバンテージが
減退してゆくことだった。
今は年をトッテ、どんどんゆける。
とらわれていた窮屈な観念が、
スポッと抜けてしまった。
炭酸水のガスのように。
その瓶を空にして、味気ない液体を流したら、
新しい水と一緒に、
庭の花を一輪挿そう。
年をトッテ、ゆくことは、
とっても素晴らしい。
美しい。
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