9/28/2010

こまわりが効く-下町ホームシック-

私が育った東京・下町は、今思えばなにかと便利だった。

 くねくねと曲がり角がたくさんある分、
店も公共施設も軒を揃えて並んでいる。
コピーをとりにいこうと思えば
家から徒歩3分のそこらじゅうのコンビニで済ませられ、
郵便だって支払いだってコンビニ。
歩くのに楽しくて、何でも買える便利な街。
ただ、道が狭い分、人とすれ違う時は
肩をひょいと脇にそらせるのが江戸っ子流。




なによりも情緒とか趣きとかが
体内までムンムンと漂い込む。
雨、雲、電線で遮られた青空、
背の違うビル。時に古い木の家。
懐かしい。

今フランスの田舎に住んでみると、大層違う。
まず、車の運転ができないと、ほぼ何もできない。
困ったことにうちの車はマニュアル。
私の免許はオートマ。
バスだって30分おきだのいろいろな線があって、
結局歩きを選ばざるを得ない。
道幅が大きくて車の通りが激しく速く、
臨月となっては危なくてあまり外出ができない。
結構動物がひかれて死んでいたり。
当然ちょっとした用事も進まず、
大したことになってしまう。

出産を控えて、今日は大切な用事が一カ月程
一向に進んでいないことに、
苛立ちがマックスに。
cart de sejour申請用のパスポート全ページのコピーだの
忘れん坊の彼が置いて仕事にいってしまった
締切明日の大事なファクチュールの郵便、
ママンが何故か住所を間違えたがために
ずっと私の元に届かないcart vitale(健康保険証)の
郵便局への訪問&追跡、
ラボラトワーへの妊婦検診、
スキャナー結果の病院報告などなど。
日本だったら電話一本、外出10分で終わってい
超簡単なことが何ひとつ、しかもひと月程進んでいない..。
出産前にやっておかないと、後々もっと
手がつけられなくなるようなこと。

そう考えるとますます焦るしイライラ。

ここは道が広くて一軒一軒のスペースがどでかくて、
こまわりの効かない場所。
木の緑やレンガの家。最初は可愛かったけど、
30年間ちょこまかとスムーズに物事が進む環境で
生きて来たものだから、
かなり参ってしまった今日この頃。
3週間物事を先延ばしにするのが当たり前、的な
スローライフにイラットくる下町仕様な私。

南仏のスローでのびのびな生活に憧れたことは
たくさんあったけど、
いざ住んでみると下町っ子には実際慣れずにツライ。
ホームシックはつのる一方。

まず出産後は、広い道幅、激しい車の通りに慣れ、
マニュアル免許をとるのが目標。

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