5/10/2009

年をトッテ、ゆく。

お年よりが多い町だ。



アパートを出て角を曲がっても、
お年よりのカップルがゆっくりと歩いている。
私は思わず微笑んでしまう。
犬などを連れていると、もっとニコニコして、
話しかけもする。



エレベーターを降りても、
コインランドリーに行っても、
映画館の列に並んでも、
お年よりが至るところで元気におしゃべりをする。

老人の町へ来てしまった。
さぁ、私は何をリハビリしよう。

車道も歩道もグンと広くて、
お隣さんも遠くにある町だ。
今日も右側に霞むピレネー山脈が、
肩を組み合ってノビをしている。

イラつかないでいい、急かされないでいい。
積極的に、前へ進んで行こうと、
ノビノビ気分を推奨してくれる町だ。

だから私も、あんな風に、
年をトッテ、生きてゆく、
ということが自然と肌で感じとれる。



東京で忙しく働いていた頃は、
年をとることが恐かった。
それは若さという美貌やアドバンテージが
減退してゆくことだった。



今は年をトッテ、どんどんゆける。
とらわれていた窮屈な観念が、
スポッと抜けてしまった。
炭酸水のガスのように。

その瓶を空にして、味気ない液体を流したら、
新しい水と一緒に、
庭の花を一輪挿そう。

年をトッテ、ゆくことは、
とっても素晴らしい。
美しい。


0 件のコメント:

コメントを投稿