4/13/2011

プロパガンダぶらない日本で

うちの旦那は歴史の勉強をしている。
その友人の歴史の教師(とってもいい人)は、
戦争アイテムやフィルムのオタクだ。
彼の家にいくと、日本の戦闘機のこの名前は
何を意味する、とか、日本戦闘飛行機のゼロがかっこいい
とか、聞いたことのない話しを耳にすることになる。
彼の情報により、うちの旦那は
france television 2チャンネル(普通にチャンネル2の意味)
で放送した「APOCALYPSE(大惨事) 」
という、世界大戦の実フィルムを借りてくる。
見よう見ようと言うので、一緒に見るが、
DVD 3枚組で、思わず目を伏せるような
濃く酷い内容。


日本の教科書では決して知れないような、
フランスがナチの支配下に入って
徴兵されてドイツ軍下で戦ったこと、
フランスの教会で女性と子供がSSに閉じ込められ、
そのまま火をつけられたこと。
ノルマンディでの戦争の様子。
囚人となったアフリカ兵は、
人種差別のナチにより、
そのまま殺されることになったこと。
世にもきれいな赤ちゃんが目を開けたまま、
屍の山に混じって動かないこと。
ドイツからイギリスへのミサイルが、
一度に2万以上の人の命を奪ったこと。
どこに落ちるか分からないそのミサイルを
イギリス人は日々こちらにこないことを願った。
サイパンで崖から自殺する日本人の映像。
言葉にすることすら酷いこの光景を、
まざまざと見せつけるこのフィルム。
途中で涙が止まらなくなって
呼吸も苦しく見ていられなくなる。

それと同時に、こんな戦争オタクな旦那を持ったことに、
一瞬嫌気がさした瞬間でもある。

私はナチがどうしても嫌いだった。
あんな収容所を作るなんて。
でも、そのドイツも同じようにフランス
やイギリスによって大量の死者を出していた。
人を殺す権利は誰にもない。
ほんとにない。
戦争なんて、何もうまない。
プロパガンダに操られて、
得意気にそれをかざし、
人を指揮し。
それを国家の使命だなんていつの間にか
考えるようになるなんて、
なんて不幸なんだろう。
皆可愛い赤ちゃんの姿で産まれてきたのに。
いつの時代も、
可愛い、可愛いって言われて
大事に育てられてきたはずなのにね。

フランスに住むようになって、
日本人としての自覚が強くなったのを感じる。
ナショナリストの感情がたまに湧いてくる。
だからといって、渋谷で街頭演説をする人とは違う。
理由のひとつに、旦那が戦争の精神性について
語りたがる。
日本の戦争と、アメリカによる侵略的行為、
今に至る米軍基地の存在。
それについて論議したがる。
「これに対して、ナショナリスト的な感情は湧かないのか?」
と聞かれたのだ。
私は日本にいた頃、米軍基地の問題など新聞で目にして
考えることはあっても、
忙しさに紛れてそのまま忘れ去ることだってできた。
でも、ここにいると、日本人として意見を迫られるから、
考えて発言せざるを得なくなる。
この論議、実は一番私自身も逃げていたことなのかなと、
最近気付かされる。
そして、今回の原発の問題。
早々にレベル7に繰り上げたフランスに反感を持ってたけれど、
実は日本で情報操作なんてことないよね、
なんて恐る恐る様子を伺ってたけど、
もしかしたら、あったのかな。
私はフランス人に原発のことを聞かれても、
今、何も言えない。
ほれ見たことか、なんて思われているだろう。

戦争のプロパガンダは人をだましてきた。
いたし方ない状況で、
人はそれにだまされることを選んできた。
 今、戦争への反省をもとにプロパガンダぶらなくなった政治を
てっぺんに構える世の中で、
いろいろなことはうやむや。
そのまま事件や粗相もうやむや、煙のように消されてゆく。
でも、今回の原発の問題は、うやむやにする次元にはない。
新婚で妊娠を望むカップルになかなか子供ができなくなるかも知れない。
産まれて来た子が白血病だったら、ガンだったら、どんな思いになる。


私たち日本人はいま、どんな正しい決断を
していくべきなんだろう。
世界の人に、何て答えられるんだろう。
日本の政治や原発を擁護してきた人のせいにするのは簡単。
その一歩先に、踏み込めるだろうか。

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